寺町のどこかで梅が咲いている       大沢 反平

寺町のどこかで梅が咲いている       大沢 反平 『合評会から』(日経句会) 智宥 標語みたいだけれど、やっぱり俳句なんでしょう(笑い)。あっさりして、いいなと思いました。「どこかで梅が咲いている」と、止めたのはなかなか品がある。 佳子 寺町は塀が多くて中が見えません。梅の香りだけが匂ってくる。その中を散歩している春の喜びを感じられて、いいなと思いました。 定利 梅がいいんでしょうね。「どこかで咲いている」。さりげなく、だからいい。 光久 梅は香りで在りかが分かる。「寺町」が合っています。 水牛 俳諧の骨法をよく捉えている。桜は「見る」で梅は「匂い」なんですね。              *         *  「匂う」とか「香る」のような嗅覚にかかわる語を一切使わず、しかも「咲いている」と詠んで、「梅の香り」を感じさせる。「寺町のどこかで」も、もちろん辺りに梅香を漂わせるための重要な舞台装置である。俳句という短詩の特徴を、いかんなく示した一句、と言えるだろう。(恂)

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