産直の菜にまじりをる春の草   金田 青水

産直の菜にまじりをる春の草   金田 青水 『この一句』  「産直」という言葉はすっかり定着して普通名詞になった。野菜や鮮魚などを市場を通さず生産者と消費者が直結した販売方法、「産地直結(直売)」の略称。田舎の道路沿いや漁港の近くには昔から葦簀張りの売場があったが、それが都会のスーパーやデパートのコーナーに現れて「産直」と呼ばれるようになってからもうずいぶんたつ。今や産直専門店のようなものまで現れ、缶詰瓶詰はじめ明らかに業者が納入している物品まで並べている“産直という名の土産物店”もある。  この句の産直は素朴なタイプのようである。売場こそ町なかの大きな店の一角なのかも知れないが、売っているものは農家が直接運んで来たもののようだ。それが証拠に、ほれ、小松菜に混じってぺんぺん草が一緒に束ねられているよ。  ちょっとした発見を喜んでいる風情が伝わって来る。サトウハチローは「ちいさい秋みつけた」と詠んだが、これはまさに「ちいさい春」を見つけた嬉しさである。(水)

続きを読む