みちのくやいつもの色の春の海   嵐田 啓明

みちのくやいつもの色の春の海   嵐田 啓明 『合評会から』(日経俳句会) 定利 海は昔の色を取り戻しているけど、実際はまだまだなんだよと。軽い句なんだけど裏があっていい句だと思いました。 庄一郎 素直な句だと思う。地上はまだまだ復旧していないけど、海はいち早く復帰したのを「春の海」で詠った。 正市 作者は被災地に何度も出かけ、ずっと見続けている人。「いつもの色の春の海」という“決め文句”がびしっと決まっている。 反平 海は復興しつつあるけれど、という思いが裏に秘められた句。           *     *     *  あれから三年、「みちのくの海」はのんびりした春の景色を取り戻した。放射能測定の結果安全が確認された鮪、ヒラメ、メヒカリなどなど旨そうな太った魚が続々と水揚げされている。市場でもまた測定する。今や福島原発の付近以外の魚は大丈夫と言われているのだが、いわゆる「風評被害」というやつで売れないようだ。地元漁民が気の毒なのはもちろん、都会の消費者にとっても大変な不幸だ。思い上がった人間に大自然の下した鉄槌の傷跡は容易に癒えない。(水)

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