春耕や土塊固し息白し   岡田 臣弘

春耕や土塊固し息白し   岡田 臣弘 『この一句』  吐く息が白く見える二月三月、田や畑を深く耕す。これが「耕」(春耕)である。掘り起こした土塊(つちくれ)が深夜早朝の霜や寒気に当たってほぐれ、新鮮な空気をたっぷり吸い込んで生き返る。それと同時に土中に潜んでいた病害虫が死ぬ。この耕しと草取りが農事の基本と言ってもいい重要な作業。しかしどちらも重労働。今では耕耘機があり、除草剤があるから、プロの農家は大分楽になったが、ジイちゃんバアちゃんの小規模農家や家庭菜園レベルでは相変わらず鍬やシャベルが頼りである。  若者にだってきついのに、高齢者にはことに堪える仕事だ。ひと畝耕すと鍬やシャベルの柄にすがって、大きく肩で息をする。畑の土質にもよるが、作物が根を張って、実り、枯れて、そのまま固く締まった土はかなり頑固で、掘り返すのに力が要る。「土塊固し息白し」の言い回しが、そうした苦労の場面をありありと描き出している。(水)

続きを読む