病躯ゆるされて春野に歩きだす   吉野 光久

病躯ゆるされて春野に歩きだす   吉野 光久 『合評会から』(酔吟会) 正裕 「春野に歩きだす」というのがとてもいい。晴れ晴れした感じです。 恂之介 いきなり「病躯ゆるされて」としたところがなかなかいいなと思います。 正風 外へ出ていいよと(医師に)言われたんでしょう。勢いよく元気な感じ、喜びが伝わってきて、とてもいい句ですね。 反平 私もやはりこの「歩きだす」がいいと思いました。ただ歩いたんじゃない、喜んで、第一歩を踏み出したんだ。この気分がいいですね。           *     *     *  作者はガンで入退院を繰り返す生活をかなり長い間強いられてきたのだが、このところぐんと快方に向かい、一年以上休んでいた句会にも出られるようになって、句友たちの歓声に迎えられた。「医師の話だと私の場合は完治は無いということで、いかにうまく付き合っていくかなのだそうです」と、どきっとするような事を明るく、さりげなく語る。確かに、こういう句が詠めるということは、病との折り合いをつけることの出来た証拠であろう。(水)

続きを読む