白鷺の下り立つ河原冴え返る    前島 厳水

白鷺の下り立つ河原冴え返る    前島厳水 『季のことば』  春先の河原はおおよそ寒々としている。緑色はまだ少なく、ススキやオギなどが枯色の大群落をつくり、大小の石に届く日差しも弱々しい。そこに白鷺が下り立ったのだ。「冴え返る」状況を頭に描くと、夜の情景が浮かびがちだが、この句を見て、昼の方がむしろ身に迫ってくる、と感じた。  「白鷺」は夏の季語である。初夏に巣を作り、繁殖するから、ということらしいが、もちろん一年中、そこいらを飛んでいるし、田畑や水辺に降りてくる。この時期、粛条とした河原に下り立てば、これぞ「冴え返る」に相応しい風景となる。季重なりだ、ととがめる人がいるかも知れないが・・・。  この句について、「鷺が飛び立つ方がいい」というコメントがあった。白鷺が河原から失せた後に「冴え返る」のではないか、ということだ。頷ける意見だが、これも白鷺がいたからこそである。白鷺を雀、鳩、鴉のような「無季」の鳥にしたらどうか。白い点景として、もっと気軽に使いたいのである。(恂)

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