わだかまり溶けゆく春の散歩かな 井上 啓一
わだかまり溶けゆく春の散歩かな 井上 啓一
『合評会から』(番町喜楽会・三四郎句会 合同句会)
厳水 「わだかまりが溶ける」と「春になって雪や氷が溶ける」と、双方の感じが一句に溶け合っていて、いいですね。この句を見た瞬間に、選ぼうと思っていました。
照芳 これ、夫婦間のことでしょう。ちょっと喧嘩したのかな。しかしいっしょに散歩に出ているうちに何となく仲直りしていったのですね。春らしい暖かさも感じられて、うまいなぁ、と思いました。
光迷 わだかまりって何か。夫婦それぞれの生き方か、子供や孫の教育か。いろいろ考えられます。
斗詩子 夫婦喧嘩の後、日課の散歩に出ていく。木の芽が出ていたりして、わだかまりが溶けていく…
啓一(作者) よく夫婦喧嘩やるんです。しかし、一時間くらいは二人で散歩するのが日課でして。歩いているうちに、諍いがばからしく思えてくるんですよ。
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「春らしい暖かさも感じられて」というコメントに感心した。夫婦、かくありたし。(恂)