綾瀬川よどむ川辺に水仙花   村田 佳代

綾瀬川よどむ川辺に水仙花   村田 佳代 『この一句』  これも「逆回り奥の細道吟行」の草加松原での一句。「大小のゴミがよどむ川の岸にそろそろ終わりかけの水仙が咲いていました。曇り空や汚れた川との対比で、春の色合いがあって、健気なようであり、心が和むような優しさを感じます」(睦子)という句評がすべてを語っている。  綾場タ川。埼玉県桶川市の田園地帯を源に、蓮田、上尾、越谷、草加を通って東京都足立区に入り、葛飾区東四つ木で中川に合流する全長49kmの一級河川。江戸時代から昭和の初めまでは農業用水や舟運に利用され、重要な役割を果たしていた。高度成長期になると宅地開発が進んで生活排水が流れ込み、続々と進出した工場の排水も垂れ流しで、起伏に乏しい平野の川だけにたちまち水質が悪化、2010年には「日本一汚い川」の栄冠に輝いた。  遅まきながら水質浄化運動が始まり、改善の兆しが現れているというが、我々が散策した日にも相変わらず川面にはゴミが浮き、水はどす黒く冴えなかった。岸辺の野水仙が清楚な花を咲かせているのがせめてもの慰めであった。それを目ざとく句にしたのがなんと言ってもお手柄であろう。(水)

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