旅終えてまた旅の計寒椿 杉山 智宥
旅終えてまた旅の計寒椿 杉山 智宥
『合評会から』(日経俳句会吟行)
水馬 芭蕉と同じく、また旅を思い、計画を立てているのですね。ユーモアも感じられます。
春陽子 旅の打ち上げの最中に次ぎの旅を考える。人生はこうでなくっちゃ。
正市 下五の季語(寒椿)に代替案があるかもしれない。上五中七が、われわれのグループにふさわしい。
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「奥の細道」は「蛤(はまぐり)のふたみにわかれ行(く)秋ぞ」の一句で終わっている。蛤の蓋と身が分かれるように、私(芭蕉)はこれからすぐ、あなたたち(出迎えの人)と別れ、伊勢の二見が浦へ旅発つ、という思いを掛け言葉で表した。旅に生きる芭蕉の心意気である。
「逆回り奥の細道吟行」一行は、芭蕉の出発点・深川を旅の最終地点として、打ち上げの盃を交わした。席上、「次はどこへ」の声もあったが、この句には現代の高齢者を思わせる雰囲気もある。旅好きの作者は帰宅後、奥さんに黙って次の旅の計画を練っていたのかも知れない。(恂)