ユーモアのメール遺して冬の風      岩沢 克恵

ユーモアのメール遺して冬の風      岩沢 克恵 『この一句』  ひょっとしたらユーモアたっぷりの言葉を「では、さようなら」で結ぶような、お別れのメールが来たのか、と思ったが、そうではなかった。八十六歳、作者より数十年は年上の「メル友」(男性)が亡くなられたのだ。作者はこの人を「師」と尊称するが、師は作者を「おねえちゃま」と呼んでいた。  「信天翁(あほうどり)」と号していたというだけでお人柄が、おおよそ分かる。単身、ニューギニア、ソロモン群島を探索し、戦没者慰霊の行脚を続けていた。国際人材育成事業にも携わっていた。作者によれば、日本人の「おもてなし」の心を、身をもって体現された方だったという。  いいお付き合いだったのだな、と思う。それを可能にさせたのがメールではないだろうか。手紙はもちろん電話でも、気軽なやり取りはなかなか難しい。ネット時代の到来によって、師と女弟子とのユーモアにあふれた交遊が成立していた。その師が冬の風とともに去って行ったのである。(恂)

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