亡妻の庭福寿草より花ごよみ   野田 冷峰

亡妻の庭福寿草より花ごよみ   野田 冷峰 『この一句』  この句の「亡妻」にはルビは振っていないが、口調からして「つま」と読ませるつもりであろう。「ルビ俳句排斥論者」としては、「亡妻=つま」には頷きかねるところがあるのだが、中7下5の「福寿草より花ごよみ」が素晴らしい。  花々を時節に従って記し、絵や写真と共にその花の名所や名歌名句を書き添えたものが「花暦」。  亡き妻がいつも手入れを怠らなかった庭に福寿草が芽を出した。次は梅、そしてクロッカス、紫花菜と続いて行くのだろう。うかつなことにこれまで気にも留めていなかったのだが、そうかこれは彼女のこしらえた花暦なのだ。福寿草に始まってこれから一年、順々に花ごよみがほどかれて行くに違いない。  この作者には愛妻賛歌が多いが、これまでのどの句よりも愛妻をしみじみ想う心がよく表れている。ただ私としては、この句は破調になるのを承知で、「亡き妻の庭福寿草より花ごよみ」とした方が良かったのではないかと思っている。(水)

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