運不運ひらたくなれり日記買ふ   星川 佳子

運不運ひらたくなれり日記買ふ   星川 佳子 『合評会から』(日経俳句会) 智宥 年を取ると運不運といっても大したことないなと思うようになる。それを「ひらたくなれり」と詠んだのがうまい。 恂之介 運不運が均されるのを「ひらたく」と言ったのは納得できますね。 青水 永年人間を務めてきたところの慧眼と諦念が漂い、心地よい。平仮名書きの「ひらたくなれり」が巧妙。 研士郎 数多くの運不運を経験したからこそ感じられる達観した心境が「ひらたくなれり」にうまく集約されている。           *     *     *  歳になると運がいいとか悪いとか、毀誉褒貶がさほど気にならなくなる。とは言っても完ボケではないから、何か嬉しいことが舞い込めば大いに喜ぶし、褒められれば心地良く、貶されればしゅんと萎える。ただその波が穏やかになり、時に荒いのが襲って来ても身をこごめてやり過ごせるようになっている。その様子が「日記買ふ」とうまく合っている。だがしかし、この作者はまだお若い。周囲の年寄りに「なりすます」いたずらっぽさがうかがえる。(水)

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