見回して日記買ふ娘の薔薇の頬   高橋ヲブラダ

見回して日記買ふ娘の薔薇の頬    高橋ヲブラダ 『季のことば』  歳末の季語「日記買ふ」は日経俳句会の12月兼題だったが、詠み難かったようだ。イメージが固定化しがちで、自由奔放に遊べない季語である。そのせいか似たような句が沢山出てきた。そうなると後は表現の巧拙だけで、「うまく詠んだな」というのが高点を獲得する。そんな中で、この句はあまり点は取らなかったが一風変わっていて目を引いた。心境詠が多い中で、これは日記売場の光景に目を付けた。  あんなに沢山積み上げて、全部売れるとはとても思えない。日付が印刷されているから売れ残ったらもう廃棄する他無いだろう。そんな余計な心配までしたくなるほど、さまざまに凝った日記帳が並んでいる。あれにしようか、これにしようかと、見回し、手に取り、とつおいつ考えている若い娘さん。それをちらちら見やっている作者の笑顔も見える。  「娘の薔薇の頬」というのがいい。まさにこれからという年頃なのだ。遠い遠い昔、私にだってそういう時代があったんだなあ、と思いながら、自分はごくごく普通の地味なのを買う。(水)

続きを読む