母親に祖母も付き添ふ七五三         井上庄一郎

母親に祖母も付き添ふ七五三           井上庄一郎  母親と祖母が幼児に付き添っているのではない。祖母が母親に付き添っているのだ。するとこの句は、初めての子の三歳時を詠んでいるのかも知れない。お母さんは二十代そこそこと若く、祖母は娘をまだ幼い子供のように思っているのだろう。娘はまだ頼りなく、すべて親まかせにする他はない。  高齢出産の多いいま、四十代の母に七十代の祖母が付き添っている、ということもあるだろう。祖母にとって娘はいつまでも幼いころのままで、立派な社会人になってもまだ、私が手助けをしないとだめ、と思い込んでいる。娘は娘で、お金は両親が出してくれるから、とちゃっかり割り切っている。  七五三という国民的行事は、日本の家族の有様を具体的に示してくれる。長寿の国だから、両家の三代どころか四代までが揃うケースもあり、祖母に若々しい人が目立つ。もしかしたら七十代の曽祖母が、美魔女と呼ばれるような人だったりして……。そんな風景もあり得ないことではない。(恂)

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