木漏れ日の秋の縁側老い二人   ??石 昌魚

木漏れ日の秋の縁側老い二人   ??石 昌魚 『この一句』  静かで平和な情景を淡々と詠んでいる。笠智衆と東山千栄子の昔の映画を思い出させるような句である。こうした映画は、あまりにも静かで、全編さしたる波乱もないから、その後の高度成長期の脂ぎった話が持てはやされる中で忘れられて行った。それがここ数年、あちこちでリバイバル上映されたりしている。効率一辺倒の世の中に首傾げる人が出てきたせいかも知れない。  俳句の世界でも同じようなことがある。バカの一つ覚えのように「大景」を詠むべしと、銭湯のペンキ絵富士山のような句を作ったり、誇大妄想のおどろおどろしい句がもてはやされたりしていたのが、近ごろはだいぶ落着いてきた。  ただ、落着き過ぎると、箱庭細工のようなせせこましい小ぢんまりまとまった句ばかりがはびこって生気を失う。沢山の会員を抱えた既成結社の多くがそういう傾向になっており、それに反発するように俳句の約束事などを無視しためちゃくちゃなものが現れている。まあそうやって左右に振れ動くのもまた俳句の面白さである。  この句など極めて地味だが、人生の本当の幸せを問うているようなところがうかがえて、しみじみとして来る。(水)

続きを読む