新田の地名多しや芋嵐           岡本 祟

新田の地名多しや芋嵐           岡本 祟 『季のことば』  秋の季語「芋嵐」が動いている、という感じがする。一九八〇年代出版の厚い歳時記では、黍嵐(きびあらし)の傍題として、実に小さな字で書かれていた。ところが例句の数では黍嵐を圧倒しており主客転倒の勢いが見える。やがて堂々たる季語になり、黍嵐を傍題として従えるようになる。  上掲の句は「芋」を兼題とする句会に出された。「芋」は植物、「芋嵐」は天文に属するのでは? ところがある歳時記には、芋の傍題の中に「芋嵐」があった。季語として人気は高まっているが、居場所はまだ定まっていないのか。芋嵐という焼酎もあるそうで、一般用語化していきそうな雰囲気もある。  新田(しんでん)は新たに開墾された田畑のこと。水田になるはずが、いまは減反政策などで里芋畑になっているのかも知れない。風が吹き荒れ、スペード型の大きな葉が大騒ぎをしている。戦国時代、江戸時代を通じて開発された耕地も、いまは半ば住宅地と化しているのではないだろうか。(恂)

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