月明り影細やかに山野草          宇佐美 論

月明り影細やかに山野草          宇佐美 論 『この一句』  句会で点の入りにくい句、というのがあるようだ。例えば風景を大きく捉えた句は壮大で目立ちやすいが、この句のように細やかな描写の場合は案外、見落とされがちである。私も「いいな」と思いながら、落してしまった。後に見直して、選ぶべきだったか、と反省している。  月光によって自分や木の影が道に伸びている、というような句は見かけるが、草の影を詠んだのは珍しいのではないだろうか。それも山野草である。名の知れぬ、「雑草」と一括りされるような一群かも知れない。そんな草の影が地面に写るのだから、風はない。上空に月が煌々と輝いているのだろう。  柔道の経験者が集まって出来た「三四郎句会」という句会に出された一句である。無骨な男性ばかりという珍しい会ではあるが、このような繊細な句も飛び出してくるのが面白い。人は見かけによらぬ? いや、ゴツイ風貌の人ほどセンチメンタルな精神を持っている、という傾向も見えるのだ。(恂)

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