満月や最終電車の窓あかり   石黒 賢一

満月や最終電車の窓あかり   石黒 賢一 『合評会から』(三四郎句会) 有弘 映画のシーンを思い浮かべました。終電が行く、その上に満月。侘びしさがあります。 久敬 私は、都会の満月を思い浮かべがちなのですが、これは郊外を行く最終電車との組み合わせ。切り口がいい。 義彦 終電を引いたところから見ている。電車の明りが遠くを行く。その上に満月が大きくある。いい風景ですよ。 賢一(作者) 国立とか立川とか、あの辺は平らで、最終電車が行くなぁ、なんて遠くから眺めていることがありましてね。           *   *   *  皆さん交々語っているように、庶民の哀感漂う佳句である。終電の乗客は酔っぱらいと、遅くまで残業した平社員。結構混んでいて、仕事疲れと飲み疲れが入り交じり、車内にはどろんとした空気が漂う。その終電を遠くから眺めている作者。こんな遅くまで起きているのは、夜なべか物思いか。「月天心貧しき町を通りけり 蕪村」に一脈通ずるところがあるなあ。(水)

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