いい笑顔そう決めた日の秋の空   池村 実千代

いい笑顔そう決めた日の秋の空   池村 実千代 『季のことば』  人間誰にだって悲しいこともあれば、不安を感じることもある。猛烈な怒りに駆られることもあるだろう。だけど、それに囚われて思い詰めると、どんどん悪い方向に進んで行ってしまいがちだ。問題が起こったら解決策を探るため真剣に考え込む必要はあるだろうが、いつまでもくよくよ一人で考えていてもラチが開かない。気持を切り替えることで、ふっと道が拓けることもある。  「いい笑顔そう決めた日」というやり方があるなんて、知らなかった。いいことを教えてもらったと思う。善は急げと、薄暗い書斎から庭に出てお天道様を仰いだ。両手を空に突き上げた途端、先日打った右脇の肋骨に痛みが走ったが、気分爽快になった。  教訓めいた句はその臭が鼻についてどうにもならない。ところがこの句にはそんな臭味が全く無い。その秘密は、自分の思いと行動をすらりと詠んだこと、そして、「秋の空」という大きな季語の力にあるようだ。(水)

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