水切りや水面の月を真っ二つ   渡辺 信

水切りや水面の月を真っ二つ   渡辺 信 『合評会から』(三四郎句会) 尚弘 水切りって、石を投げるアレでしょう。昼間やるものだけれど、月が明るいから、水を切って飛んで行く石が見えるのですね。映像的な句です。 祟 ある心理学者の説ですが、水切りは気分がいい時、満足な時にやることが多いらしい。学校に合格したとか、故郷に帰った時とか。そんな気分がこの句にも感じられます。 論 情景だけでなく、音まで聞こえてきそうだ。真っ二つが見事。 恂之介 実際に月を真っ二つにしたかどうかは別にして、水しぶきまでが光って見えてきます。           *   *   *  湖か海岸か。どちらでもよさそうだが、静かな夜の山の湖の方が、あたりに動くものが全く無くて、水切り石が際立つようだ。あの月を的にして、いざ、という場面。見事、湖面を切って走る石が満月を真っ二つに切り裂いた。ベンチ代わりの大きな流木に腰を下ろす佳人が、現代版那須与一をうっとりと見上げる──そこまで読むのは下司の勘繰りか。(水)

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