恥じらひの陽に透き通る酔芙蓉         久保田 操

恥じらひの陽に透き通る酔芙蓉         久保田 操 『季のことば』  ちょっと古い歳時記で「ふよう」を調べたら、「木芙蓉」となっていた。植物辞典によると、かつて蓮の花の表記は中国に倣って「芙蓉」であった。そこで二つを区別するために、落葉低木の芙蓉を「木芙蓉」、蓮を「草芙蓉」と書き分けていたのだという。今ではもちろん「芙蓉」と「蓮」で問題はない。  「酔芙蓉」は芙蓉の変種である。朝は白、昼が薄紅、夕方の紅と色を変えるため、飲酒時の顔に見立てて、その名がつけられた。八重咲であり、色の変化のあることなどから、栽培によって生まれた種なのだろう。江戸時代の句に「酔芙蓉」が見つからなかったのは、そのためかも知れない。  「恥じらひの陽に透き通る」を見て、上手いな、と思った。うっすらと紅のさした頃に違いない。その薄い花弁に陽光が透いているのだ。まさに妙齢女性のほろ酔いだが、酒はこの辺で控えてもらいたい、と思う。飲み続けて真っ赤になってしまったら、恥じらいなんて瞬時に消えてしまうからだ。(恂)

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