妖怪も村の支えと過疎の秋   藤野 十三妹

妖怪も村の支えと過疎の秋   藤野 十三妹 『この一句』  近ごろずいぶん妙なものが流行る。「ゆるキャラ」とかいうマスコット人形と、もう一つは「妖怪」だ。この二つは昔から、それぞれ独特の存在感を示すものがあった。しかし今どきのはちょっと変で、マスコミやインターネットで紹介されると、さして魅力の感じられないものがわっと持て囃される。  妖怪といっても、大概はばかばかしい「お化け」の類である。上田秋成、三遊亭円朝、小泉八雲などの怪談に登場する、凄艶な幽霊などは見当たらず、道化ばかり。ゆるキャラときたら、あの県が当てたから我が県もと、広告宣伝会社の口車に乗せられて可愛くもない縫いぐるみ(着ぐるみ)を鳴り物入りで売り出す。イベント屋がそういうものを集めた大会を開く。ネタ不足に悩むテレビが飛びつく。すると大勢の大人子供が押し寄せる。  これも日本という国が平和で、万民がそこそこ暮らして行ける恵まれた国なればこそのことであろう。「妖怪博物館でも作って観光客呼び込むべえ」「妖怪クッキーや妖怪アイスはどうだんべえ」と、賑やかな相談が始まる。そんな「今」を面白く詠んでいる。(水)

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