ねこじゃらしくすぐりごっこする姉妹   井上 庄一郎

ねこじゃらしくすぐりごつこする姉妹   井上 庄一郎 『この一句』  「ごっこ」という接尾語は、前に名詞を置いて、そのものになりすましたり、その形や動きを真似たりする子供の遊びを言う。縄の輪の前方に運転士役、後方に車掌役、真ん中に乗客になる子を乗せて走ったり停まったりする「電車ごっこ」。鬼の役の子が逃げる子を追いかけ、捕まえたらその子が鬼になるという「鬼ごっこ」(これには様々なやり方があったが、ほとんど忘れてしまった)。この二つが「ごっこ遊び」の両横綱で、昭和四十年代まではどこの空き地にも見られた。こういう素朴な遊びを見なくなって久しい。  「くすぐりごつこ」という遊びは聞いたことがない。多分これはちゃんとした「ごっこ遊び」ではなく、単に猫じゃらしでお互いをくすぐりっこしているのだろう。「先に笑った方が負けよ」という取り決めはあるのかも知れない。秋風が吹いて気持の良い縁先かテラスで、幼稚園と小学生の姉妹が笑いたいのを我慢しながら、懸命に猫じゃらしで相手の首筋や二の腕などをくすぐっている。籐椅子にくつろぐおじいちゃんはもうメロメロである。(水)

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