あらはれてまた陰に入る盆踊   徳永 正裕

あらはれてまた陰に入る盆踊    徳永 正裕 『合評会から』(番町喜楽会) 冷峰 古典的な盆踊風景ですねえ。櫓の回りを取り巻いて踊る。こちら側に出て来ると姿が見えて、そのうちに櫓の陰に入ってしまう・・。子どもの頃、盆踊で東京音頭なんか踊った。その風景が甦ってきました。 白山 うまい。こういう句、たくさんあるように見えて、そうそうは無い。そういう感じの句です。           *   *   *  大昔から数々詠まれて来た類型的な句のような感じがするのだが、さてどんな句がと言われても思い出せない。「あらはれてまた陰に入る」という昔風のおっとりした詠み方が一見類句ありと思わせるのかも知れない。郷愁を誘う風景で、誰の心にも浮かぶシーンだからそういう感じを抱くのだとも言える。  蕪村に「四五人に月落ちかかるをどりかな」の名句がある。蕪村の友だちの炭太祇に「かの後家のうしろに踊る狐哉」がある。弟子の黒柳召波に「うかと出て家路に遠き踊りかな」がある。これら天明期の盆踊の名句に通う、素晴らしい味のある句ではないか。(水)

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