百日紅古希の女の色気かな   高井 百子

百日紅古希の女の色気かな   高井 百子 『季のことば』  サルスベリは七月半ばから十月半ばまで百日も咲き続けるタフな花木なので「百日紅」と名付けられた。日本へは室町時代に中国から持ち込まれ、花の少ない盛夏の庭を彩ってくれることと、野放図に大きくならないことから庭園樹として好まれ、すっかり定着した。濃いピンクが普通だが、紫と白もある。  この句は大胆な詠みっぷりで実に面白い。颯爽たる七十歳のオバアチャン。小粋な洋服を着て、念入りに化粧して、髪もちょっとバイオレットに染めたりしている。お肌などサルもすべるほどのすべすべだ。これからデートにお出かけ、まさに真夏の青空をバックに咲き誇る百日紅そのものである。  控えめに慎ましくというのが日本女性の徳性とされて来たのだが、実は大昔からこういう愛らしいオバチャン、オバアチャンはかなりいたようである。加賀千代女なぞは「散れば咲き散れば咲きして百日紅」と、「負けてなるものか」という心意気を見せている。もっとも蕪村は、そういうひとをからかってか、「百日紅ややちりがての小町寺」と詠んだ。(水)

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