下闇に大阪弁の女達   田中 白山

下闇に大阪弁の女達   田中 白山 『季のことば』  「下闇」というのは三夏を通しての季語「木下闇(このしたやみ・こしたやみ)」を省略した言い方である。夏木立の下は真夏の強い陽射しがさえぎられてほの暗く、涼しい風が吹き通る。大木の何本も繁った所だと、下闇はそれこそ得体の知れない獣や魔物が住んでいるのではないかと思わせるような暗がりになる。  昔の街道筋は地元の領主の裁量によって並木が作られ、それが冬の風雪を防ぎ、夏の陽射しをやわらげて旅人を癒した。もちろんそうした並木や、木下闇を作る一里塚の植え込みなどの手入れは沿道村民の仕事だった。  自動車時代になってそうした緑陰は次々に姿を消した。かろうじて残っている場所は、近隣のおばちゃんたちの絶好のコミュニケーションスポット。この句はそこから「大阪弁」が聞こえて来ると言っている。大阪弁はどうも夏向きの言葉ではないような気がする。本来どちらかと言えば静けさを感じさせる木下闇だが、この句からは女という字を三つどころか四つも五つも重ねた爆発音が伝わって来る。(水)

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