晩夏光ホットパンツの乙女たち       前島 厳水

晩夏光ホットパンツの乙女たち       前島 厳水 『季のことば』  八月初めの番町喜楽会で「晩夏光」の句が三句、それに晩夏光かな、と思わせる句が一句投句された。雑詠二十一句中の三+αだから、この季語は人気が出てきたのかも知れない。歳時記では「晩夏」の傍題になっていて、説明は小さく、例句も少ない。ちょっと古い歳時記だと、晩夏光は全く無視されている。  晩夏光のイメージも固まっていないようだ。ある書には「秋近く、少し柔らかくなった夏の光」とあり、別の書には「晩夏とは言え、盛夏を思わせる強い陽光」などとある。一方、句会に出された作品は陽光の強弱というより、いかにも夏も終わりなのだ、という印象を詠んでいた。こちらの方が正解と言えるのだろう。  上掲句の場面を撮影したとしよう。乙女たちは順光か、逆光か。多くの人は「逆光」と見るのではないか。ホットパンツの若い女性たちが逆光の街を行く。ああ、彼女たちの夏も終わって行くのだ――。そういう詠嘆が、「晩夏光」という語から浮かび上がってくるかどうか。句作りのポイントはそのあたりにあるのだろう。(恂)

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