夏深し眉を濃い目に襟を抜き        高井 百子

夏深し眉を濃い目に襟を抜き        高井 百子 『合評会から』(番町喜楽会) 冷峰 濃い目の眉もそうだが、襟を抜くというのが、何と言っても色っぽい。ぐっときますね。 春陽子 夏の盛りを過ぎた頃の女性の姿ですね。まず伊東深水の美人画が頭に浮かびました。ただ下手すると安物の団扇(うちわ)の美人になってしまうかも知れない。 正裕 夏ですからね、薄化粧だとは思いますが……。夏深しを思わせます 厳水 なるほど、年配女性はこうなのかと、改めて思いました 光迷 抜き衣紋(ぬきえもん)とくれば、芸者でしょう。三業地の雰囲気ですね。 何人か (作者が明らかになって)ほう、百子さんですか。なかなかやるねぇ。              *        *  和服の胸元の合わせ目を「衣紋」という。そこに手を当てて着物を押し上げながら後襟を下げ、襟元を艶めかしく出して見せるのが「抜き衣紋」……、ということを、今回の調べで初めて知った。四十年も昔の映画でのこと。喜劇役者の三木のり平が芸者を真似て、胸元に手をやり、体をちょっとくねらし、客の笑いを誘っていた。あれは「抜き衣紋」のしぐさだったのだ、と今になって理解した次第である。(恂)

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