水田の稲が吸い取る暑さかな   植村 博明

水田の稲が吸取る暑さかな   植村 博明 『この一句』  田んぼの道を歩くと幾分か涼しさを感ずる。真夏の太陽がかんかん照りつけているのだが、青々と茂った稲が風にそよぎ、暑熱を吸い取ってくれるようだ。7,8月、沸くような田水を吸って稲は花咲かせ、豊かに実る。  「稲が吸取る暑さ」というフレーズにあっと思った。エアコンに馴れてしまった日々を過ごしているうちに、すっかりこういう感覚から遠退いてしまっている自分に気がついた。そうだったそうだったと昔を思い返して、この句に一票投じた。そうしたら若い明美さんも採っていた。「とてもよく感じが分かります」と言う。実は明美さんは神奈川県海老名市に居住、日々こういう風景の中を歩いているのだ。  しかし、たとえ日頃田んぼなど見ることが無い都会人でも、この句を何度か読んでいるうちに感じがつかめるだろう。豊葦原瑞穂の国・日本人の原風景として、誰の心の中にもあるから。(水)

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