夏菊や笑顔つくれば生き易し   金田 青水

夏菊や笑顔つくれば生き易し   金田 青水 『季のことば』  菊は秋のものだが、古来、日本で改良に改良が重ねられて、春夏秋冬花咲かすようになった。中でも花の少ない夏場にせっせと咲く夏菊は、仏壇に花を絶やさないように心がける奥床しい人たちに重宝されてきた。  というわけで、江戸時代には夏に咲く小菊が既にたくさん生まれていた。白、黄、薄紅、紫青といろいろの花色があり、とても丈夫で、庭先に植えっぱなしにしておいても毎年夏になると咲いてくれる。しかし秋の大輪の菊とは大違い。小輪でいかにも地味である。もっとも近年、欧米で改良された小菊が逆輸入されており、これは青目玉が好む、極めて派手な色をしている。  作者は「小難しい世の中も笑顔を見せれば何事もスムーズに行きますよ」と言い、それに夏菊を配した。とても良い取り合わせではないか。  毎日、笑顔など見せようがない嫌なことが次々に起こるが、そこは気の持ち様だ。突拍子もない言い方だが、山口の山奥の大量殺人放火事件だって、村のみんながこういう風に接してやれば、あの凶悪犯をあそこまで追い詰めずに済んだのかも知れない。(水)

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