蹲る怪我の子鼠梅雨に入る         高橋 淳

蹲る怪我の子鼠梅雨に入る         高橋 淳  子鼠が道路に出て車にぶつかったのだろう。はね飛ばされたり、体の一部が轢かれたりしたかも知れないが、即死ではなかった。しかし大怪我であることは確かで、動けず、ただ蹲(うずくま)っていたのだ。梅雨入りの日の朝、作者はそんな鼠を見つけたが、どうしようもなく、駅へ急ぐほかはなかった。  野生の動物が怪我などで動けなくなっていても、見過ごす方がいいという。治してやっても、自然界では生きていけないかも知れない。犬、猫などの場合も保健所あたりに連絡するくらいがいいようで、動物病院に持ち込むと、治療費はその人の負担になってしまうそうである。  梅雨晴れが続いた日、蟇蛙の死骸がアスファルト道路にへばりついていた。毎年、同じ場所で必ずと言っていいほど見掛けるので、「またか」と見過ごすのだが、「子鼠」の句に出会ってから、小動物の行く末が、妙に気になってしまう。蟇蛙はやがて粉々になり、風に飛ばされていくはずである。(恂)

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