草の闇ようやく蛍二つほど   北澤  淳

草の闇ようやく蛍二つほど   北澤  淳 『この一句』  昨日に続いて蛍の句をもう一句。この「草の闇」とは作者の造語であろうか。雰囲気のある言葉である。小川の岸辺や路傍に雑草が生い茂るさまを言う「草茂る」という夏の季語があるが、夜になればそれが草の闇となる。そこは蛍にとって絶好の住み処。  この句は感じからして、都会の住宅地近傍での蛍狩り風景のようである。近頃は東京はじめ大都市近郊の公園などで小川に蛍を復活させる試みが盛んに行われている。地元の小中学校の課外活動に取り上げられたりしている。  しかし一旦死滅したものを再生するのは並大抵ではない。まず農薬や洗剤などが流れ込まない清流を取り戻すことが絶対条件だ。流れには適当に水草が生え、岸辺には草が繁茂していること。そして蛍の幼虫の餌になるカワニナという小っちゃな巻貝が繁殖していなければならない。そういう条件をクリヤして、自然に蛍が舞い始めるようになれば万々歳。夕涼みがてら近所の人たちが押しかける。出て来る蛍より見物人の方が多い。それでもみんな玄妙な光に見とれて大喜びである。(水)

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