バス停に旧き町名麦の秋   大下 綾子

バス停に旧き町名麦の秋   大下 綾子 『合評会から』(日経俳句会6月合同句会) 頼子 市町村合併で古い町名が次々に消えてしまいましたが、バス停の標識にまだ古い町名が残っているという、なんとなくほっとした感じを抱かせます。 臣弘 田舎のバスで乗る人もいなくなって、もう来なくなっちゃった。古い町名のバス停標識だけがぽつんと残され、そばにはボンカレーの看板が埃かぶっている。まことに淋しい風景をさりげなく詠んだ、いい句ですねえ(大笑い)。 恂之介 都会に住んでいると今や麦畑も麦秋という季語も古いというか、懐かしい感じの言葉になった。そういうことを考えると、古い町名がバス停に残っていると詠んだこの句は麦の秋とよく合っていますね。 啓明 田舎のバスなんかは今ではもう朝一本、夕方一本という具合で、それを待っていると視野には麦畑も入って来るんでしょう、ふと見ればバス停だけに古い町名が残っている。味のある句だなあと思います。           *   *   *  「父が故郷の温泉に行きたい」と言うものですから、湯布院へ行って、大分へ出る道を行きました。バス停の標識を見て「ああここも大分市になったのか」なんて言ってまして・・・。親孝行が生んだしみじみとした句である。(水)

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