塵取に集めても薔薇の匂ひかな       澤井 二堂

塵取に集めても薔薇の匂ひかな       澤井 二堂 『この一句』  久しく薔薇の香りを感じたことがなかった。二十年も前、よく咲いていたつる薔薇を、家の改築のために抜いてしまってからのことと思う。以来、意識して薔薇の香をかぐこともなく今日に至ったのだが、この句を見たとたん、あの香しさを思い出した。嗅覚とは不思議なものである。  作者はアマ園芸家と言えるほどの植物好きだから、薔薇ももちろん栽培しているのだろう。初夏を迎え、薔薇が次々に咲いては散っていく。その花びらを箒で掃き寄せていたら、塵取りの中から薔薇の香がふわと漂って来た、というのだ。いままでよく咲いてくれた、という気持ちを持っているから、匂いを感じ取ることが出来たのかも知れない。  よくそこに気づいたものだ、と称賛しつつ、句について感想を一つ述べさせて頂きたい。「集めても」の「も」は必要かどうか。散って後も、塵取りに集められても、という気持を押え、「も」を外して鑑賞してみたい。五七五の定型に収まるから、という以上の意味を持っているのではないだろうか。(恂)

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