風光る未完の塔の五百年          須藤 光迷

風光る未完の塔の五百年          須藤 光迷 『合評会から』(番町喜楽会) 水牛 これは、てる夫さんと百子さんの地元(長野県上田)、前山寺(ぜんざんじ)の三重塔ですね。 てる夫 あの塔は窓とか勾欄とか、まだ出来ていないところがありますが。交響曲の「未完成」のように整っている。未完成ながら光輝く時があるんですね。 正裕 寺社の建築には未完のままにしておく、という慣わしのようなものもあるようですが。 而雲 私は「未完の塔」という、句のムードに魅かれました。ただ、「風光る」(春の季語)は時季的にちょっと遅くないですか。夏の季語だと、全く別の句になってしまうけれど。 光迷(作者) そのことも考えましたが、やはり実際に見た時の感覚を生かしたかったので……。わざわざ夏の季語に変えることはない、これで行こう、と決めました。               *        *  句会への投句に、過去の季の作品は出さないのが普通である。兼題も次の例会に合わせるので、例えば梅雨入り前に梅雨の句を作って、句会に臨むことにもなる。作者は、そんな傾向に一石を投じた。(恂)

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