宿題の観察続くパンのカビ   今泉 而雲

宿題の観察続くパンのカビ   今泉 而雲 『合評会から』(番町喜楽会) てる夫 理科の実験の宿題なんでしょうが、私にはこういう経験が無いので、とても思いつかない材料です。新鮮で、感心しました。 光迷 私は、そういえばそういったことがあったよなァ、という懐かしさを感じました。黴を観察するという、明るく詠んでいるのがいい。 水馬 モチーフがいいですよね。宿題にパンのカビの観察とはね。           *   *   *  作者によるとむかしむかしの小学生時代の思い出で、餅でも他の食べ物でも何でもいい、黴を生やして観察日記を付け、決められた日に現物を学校に持って行く宿題だったのだそうだ。  「黴」という兼題で出て来た句は「じめじめ」「匂い」「蔵」「暗い座敷」といった素材が圧倒的に多く、どうしても陰気な感じのものが多かった。その中でこの作品はとても明るい。青、赤、黄色といろいろなカビに見入っている子供の表情が見えるようだ。詠み方を工夫したまことに新鮮な黴の句である。(水)

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