午後からは桜吹雪となりにけり   三好 六甫

午後からは桜吹雪となりにけり   三好 六甫 『この一句』  「花に嵐」という言葉がある。いい事はそうそう長くは続かないよという意味の警句である。また、物事最高潮に達した時に得てして邪魔が入るものだという意味にも用いられる。桜の見頃はせいぜい一週間、わあ満開だと喜んだのも束の間、大荒れの天気に見舞われて吹き散らされてしまったりする。  この句はそうした情景を詠んだものだが、教訓めいた臭いが全く無くて、花見の一日を素直に語っている。報告調でありながら花見の気分というものを遺憾なく伝えている。  桜の咲く頃は天候定まらず、急に暖かくなったり冷え込んだり、晴れたと思えば激しい雨が降ったりする。やきもきさせられながらも、なんとか桜は見頃を迎え、連れだって花見に繰り出した。花見弁当を広げる頃から風が強くなりはじめた。広げたシートがめくり上がるほどである。まことに落着かないが、お天気を相手に怒ってもしかたがない。花びらが塊になって舞飛ぶ。これもまた一興だと、どっかりと腰を据えた作者は冷や酒をぐいと呷る。(水)

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