仁王像さらに目をむく余寒かな 大熊 万歩
『合評会から』(日経俳句会)
啓明 分かりやすく、ユーモラスですね。
十三妹 余寒に「目をむく」という着眼点がすごくマッチしています。
庄一郎 仁王像を見ていると確かに寒さを感じる。「さらに目をむく」がうまい。
正 そもそも仁王像は目をむいているが、「さらに」がミソですね。
紘 実際にあるわけじゃないが、ありそうだと思わせます。
臣弘 ただでさえ目をむいているのに「なんだ、この寒さは」とさらに目をむく。仁王の前でオナラをして「におうかぁ」という落語がありますが、あれを思い出しました。
智宥 「さらに」付け加えるとことありません(笑い)
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寺の門前で目をむく仁王像。「さらに」は実際にあり得ないが、「ごとく」を略したと思えばいい。この句、二桁得点を獲得し、「私も同じ」の感想が相次いだ。作者は「こんなこと初めて」と目をむいていた。(恂)