クロッカス水耕の根に陽のさして   村田 佳代

クロッカス水耕の根に陽のさして   村田 佳代 『この一句』  花の少ない早春の花壇を華やかにしてくれるのがクロッカスとパンジーである。とくにクロッカスは丈夫で、屋内でも陽がさす場所ならば水耕栽培でも花を咲かせてくれる。  親指の先ほどしかない球根をガラスの水耕ポットに載せて、キッチンや居間の窓のそばに置いておくと、松葉のような葉を生やし、やがてその真ん中から花茎を伸ばし、黄色、青、紫、縞模様の花が咲く。  ガラス容器だから球根上部の葉や花茎だけでなく、水に浸かった根が日一日と伸びて行くのが見える。どこにそんなエネルギーを蓄えていたのか、窓越しの春の陽射しに白い根が光り輝くのを見つめていると、「春眠暁を覚えず」などと寝坊を決め込んでいたのが恥ずかしくなる。  この句のクロッカスはまだ花が咲く前の、葉と根をじわじわ伸ばしている頃を詠んだものと思える。小さいながらも力強さを感じさせるクロッカスの根に目をとめて、命の尊さを訴えている。(水)

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