鳥帰るどこへも行けぬ氷川丸   吉野 光久

鳥帰るどこへも行けぬ氷川丸   吉野 光久 『合評会から』(酔吟会) 佳子 鳥は故郷に帰るのに氷川丸はどこへも行けない。氷川丸の活躍していた時代への郷愁とも絡み合って、うまく表現されています。 正裕 先日、山下埠頭で氷川丸見学してきました。大正の初めにアメリカ航路で活躍し、戦後引き揚げ船としても使われたそうです。情景、雰囲気がよく表現されている。 恂之介 もう長いこと繋がれたままの船の上を鳥が渡って帰るという風景が見えるようだ。 てる夫 「鳥帰る」を使って、現役時代を懐かしんでいるのがよく分かる。とても斬新な句だと思う。           *  横浜港の南側には氷川丸が、北端には日本丸が繋がれている。二つとも戦前の海運大国ニッポンを象徴する素晴らしい船で、船好きばかりでなく一般行楽客が見学に訪れている。しかし、繋がれっぱなしの船というものは何んとも悲しい感じがする。作者が闘病中の吉野さんと分かって、句会の席は一瞬静まった。(水)

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