永き日に卵を二つ生みにけり         井上 啓一

永き日に卵を二つ生みにけり         井上 啓一 『季のことば』  俳句を知らない人にはピンとこない「俳句語」というものがある。「日永」「暮遅し」なら分かっても、「永き日」や「遅き日」となると、「何これ?」となる。しかし一度、理解した後は、その言葉の持つ味わいがじわじわと膨らんできて、いつの間にか俳句語ファンになっていくらしい。  一方、俳句を作る側になると、俳句語の微妙さが常に難敵となる。たとえば「永き日」。この季語の特徴は、と考え、のんびりした言葉を配していくと、「付き過ぎ」となり、平凡な句となってしまう。では、どんなことを考えるべきか。それが分かるようになれば、俳句の達人になれるだろう。  「卵を二つ生みにけり」。これを見て、まさに永き日だ、と私は嬉しくなった。どこがいいのか、と考えても、いい答えが浮かばない。日照時間、気温、気候、トリの体調というようなことに関係があるのだろうが、それだけではない。永き日と卵二つ。どうしても、うまく説明出来ないものがある。(恂)

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