冬ぬくし腹に小銭の布袋尊   今泉恂之介

冬ぬくし腹に小銭の布袋尊   今泉恂之介 『メール合評会』(日経俳句会・番喜会合同) 柏人:「冬ぬくし」と「布袋の太鼓腹」がよく似合っている。「小銭」も効いていて、全体の柔らかい雰囲気が伝わってくる。 光迷:腹の上に小銭を積み上げ、幾つかを前にこぼした布袋尊には、微笑ましさ、長閑さを感じました。いい日和の中を連れ立って七福神めぐりをする雰囲気がよく出ていると思います。 白山:ユーモアのある写生句ですねえ。        *   *   *  これも佐倉七福神吟行の一コマ。大聖院というお寺の庭に大きな布袋和尚が座っている。参拝客が面白がって載せたのだろう、太鼓腹には十円、五円、一円の小銭が山になっていた。布袋さんは唐時代末(十世紀初め)、現在の浙江省寧波市にいた乞食僧で大きな袋をかついで喜捨を乞い歩き、占いなどして住民の人気者だったという。このお寺のはどうやら佐倉七福神開始に合わせて作られたらしく、まだ真新しい。小銭ばかりでは石像の彫り賃を回収する頃には苔むしてしまいそうだが、布袋さん一向に頓着せずにこにこ笑っている。(水)

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