初鳶の池に突っ込む称名寺   藤村 詠悟

初鳶の池に突っ込む称名寺   藤村 詠悟 『この一句』  称名寺(しょうみょうじ)は鎌倉時代中期(西暦1200年代半ば)の武将北条実時が、領地である三浦半島六浦荘金沢(現・横浜市金沢区)に建てた寺。境内に作られたのが金沢文庫で、和漢の書籍を集めた当時としては日本有数の図書館だった。鎌倉幕府滅亡と共に称名寺も金沢文庫も衰微したが、徳川時代に再興され、現在では赤門、仁王門、金堂が残り、金堂前には大きな池を配した浄土式庭園が復元されている。金沢文庫も昭和5年に神奈川県立金沢文庫として再建復興した。中世文化に関する博物館兼図書館として貴重な存在。  周囲は住宅が密集しているが、一歩境内に入り、金堂横手から裏山に登ると、別世界に来たような気持になる。林には藪椿が咲き、茂みのあちこちに百観音が見え隠れ。ヒヨドリ、椋鳥などはもちろん、山雀、四十雀、目白、鶯など野鳥が遊ぶ。大池には鯉が泳ぎ、浅瀬には稚魚が群れ、ゴイサギがつくねんと佇む。時折、獲物を目がけて上空から鳶が急降下して人を驚かす。この近くに住む作者は初詣を皮切りに、ここへの散歩が日課のようになっている。(水)

続きを読む