入り乱れ新党合戦狂ひ花         徳永 正裕

入り乱れ新党合戦狂ひ花         徳永 正裕 『この一句』  いま、この時、こういう風に詠んでみたかった、という句だと思う。いい句を作りたい、というような考えは、とりあえず別に置いたのだろう。時節柄、世の中のこと、時事的な事柄を取り上げたくなるものだ。新聞記者の多い句会としては、さほど珍しくないタイプ、と言えるかも知れない。  句の背景を語る必要はない。いまなら誰でも頭の中に、そのことがある。何年か経つと記憶は次第に薄れていくが、完全に忘れ去ることはない。俳句帳の中などにこの句を見つければ、その時の国情、政情、国民感情などが甦って来る。これもまた俳句の効用、と言えるかどうか分からないけれど。  句会に「帰り花」の兼題が出されていた。全投句を見渡したところ「狂い花」「狂い咲き」を用いていたのは、この句だけであった。狂い花は語感上、敬遠されがちである。それなら敢えて挑戦しようか、と野党的精神を出そうしても、結局、与党的な「帰り花」に行き着いてしまう。この句、「狂い花にぴったり」と大いに感心したが、大量票は集めにくかったかも知れない。(恂)

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