悪友も次々と逝き酉の市   片野 涸魚

悪友も次々と逝き酉の市   片野 涸魚 『季のことば』  十一月の酉の日に鷲(大鳥)神社で行われる祭礼で、商売繁盛の神様として商家、飲食業、接客業などのいわゆる水商売の人たちに人気がある。今年は20日が二の酉で、台東区千束、新宿花園町、目黒をはじめ各地の鷲神社は例年通りごった返すだろう。  酉の市で売られるのが縁起物の熊手で、「福を掻き集める」「福を取り(酉)込む」という、実に分かり易い御利益をうたったお守りだ。熊手には宝船、七福神、おかめ、打ち出の小槌、鶴と亀、千両箱に大判小判と目出度い物がこれでもかとばかりにぶら下がっている。  お酉様は大概色街に近いところにあるところから、昔は悪友連れだって酉の市をひやかし、二三杯引っかけた勢いで悪所になだれ込むという一幕もあった。まあそれはともかく、十二月の超繁忙期を前に英気を養うイベントという趣のあるお祭りであった。「お互いにがんばろうぜ」と盃を上げ、肩を叩き合った仲間たちがもうずいぶん欠けてしまった。喪中葉書が次々に舞い込むのもこの時期である。(水)

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