来ぬ人やミッドタウンの居待月   流合研士郎

来ぬ人やミッドタウンの居待月   流合研士郎 『季のことば』  居待月は旧暦八月十八日の月で、今年は10月3日。中秋の名月から三日後だから、月の出は十五夜お月さんに比べると一時間半ばかり遅れ、しかも右下が欠け始めてちょっと寂しい。  旧暦時代の時刻は不定時法と言って、日の出から日の入りまでを「昼」とし、日没から日の出までを「夜」としてそれぞれを6等分して「一刻」とした。春分、秋分頃は現在と同じく昼夜各十二時間、一刻は二時間だが、冬至の頃は昼の一刻はとても短く一時間半少々、夜の一刻は二時間半近くになる。夏至はその逆で昼がとても長い。とにかく、夜が明ければ明六つの鐘が鳴り一日が始まり、日が暮れると暮六つの鐘で夜になる。  だから昔の人は早じまい。居待月の頃など、今の時計で言えば5時頃には夕飯を終えている。7時頃にようやく上がって来る居待月は、やはり坐って待つ(居待ち)ことになるわけだ。現代のデートは残業を断って駆けつけるにしても6時過ぎか。作者は居待月が高く上がってもまだ待たされている。高層ビルにかかる月を眺めるにつけ、あれこれ心配が頭をもたげてくる。(水)

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