居待月去年と同じ飲み薬        横井 定利

居待月去年と同じ飲み薬        横井 定利 『合評会から』(日経俳句会) 正裕 飲み薬を見て、去年と同じだな、と思う感じが、何となく居待月(いまちづき)に合っていますね。 智宥 病状は良くなっていないけれど、悪くもなっていないんでしょう。これもご老人のちょっとした幸せなのかな。ただ名月でも、立待月(たちまちづき)でもこの句は成立するかな、とは思いますね。 恂之介 これ、病気のマンネリなんですよ。よくも悪くもならない。そんな感じが居待月ですよ。 てる夫 そうですね。名月を眺めている句ではない。お医者さんはどう考えますか。 好夫(医師) 同じ薬出して、今年も同じだなぁ、と思う。居待月と薬の微妙な関係、上手いですね。 水牛 私は二十五年間、同じ薬だが。              *           *  十五夜の後、月は少しずつ欠けながら、月の出もすこしずつ遅くなって行くので、十八夜の月は「居て(座って)待つ月」。そんな月と去年と同じ飲み薬にどんな関連が? と頭を傾げているうちに、何となく雰囲気が合うように思えてくるのでは…。俳句の不思議の一つである。(恂)

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