蜩や合せ鏡の中の顔   高橋 楓子

蜩や合せ鏡の中の顔   高橋 楓子 『合評会から』(番町喜楽会) 光迷 取り合わせがうまい。蜩は物思わせる生き物です。合せ鏡を見ていますとね、遠くでしきりにカナカナカナと鳴く、昔を思い出しているのかどうか・・、いろいろ考えさせますねえ。 塘外 何しろ残暑ですから汗かいてお化粧の乗りも悪いんでしょうか、合せ鏡をにらんで、外には蜩が鳴く夕まぐれという、風景がよく見える句です。 春陽子 映画「女が階段を上る時」を思い出しましたね。雰囲気あるなあ。           *  作者は真面目なキャリアウーマンだが、時々こういう句を句会に出して不良老年の反応をうかがう茶目っ気がある。この三人もまんまと引っかかった。と言うのは半分冗談で、句自体とても良く出来てをり、三人が褒めそやすのも頷ける。合せ鏡というのは自分を客観視する働きを持つのだろう。蜩がバックグラウンドミュージックのように鳴き続けていて、この主人公の想念はとめどなく広がってゆく。(水)

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