蜩に後期高齢共振す          前島 厳水

蜩に後期高齢共振す          前島 厳水 『この一句』  「今までは人のことだと思ふたに」。後期高齢者になる手続きが、こんなに厄介なものだとは思わなかった。「とても面倒臭い」「本当に頭にくる」。先輩の文句を何度も聞いていたが、オレのことは「これはたまらん」と言いたくなる。何も悪いことをしていないのに、なぜこんな面倒を強いられるのか。  七十五歳になると健康保険料の天引きが振込に変わり、銀行引落に変更する手続きが何とも煩わしい。ようやく手続きを終えたと思ったら、区役所から「それは奥さんの分だけです」という指摘を受けた。何で? と首を傾げるほかはない。お知らせの紙を見たら「手続きはとても簡単」と書いてあった。  蜩(ヒグラシ)が「カナ、カナ、カナ」鳴く。頭の中で「後期高齢、後期高齢」と共振する。国や自治体の手際の悪さに、後期高齢に関するあらゆることが、こんな形で反応するようになった。一句に込めた作者の意図は別のものかも知れない。しかし私はこの句を借りて、言いたいことを言うことにした。最近はツクツクボウシが鳴いても「後期高齢、後期高齢」と共振している。(恂)

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