引き取り手なき瓦礫にも春の雪   原 文鶴

引き取り手なき瓦礫にも春の雪   原 文鶴 『この一句』  東日本大震災から一年たって、被災地の復興は徐々に進んでいるが、問題は2千数百万トンと言われる瓦礫だ。コンクリートの壁や基礎のかけら、木材、ありとあらゆる雑物が入り交じって、被災地のあちこちにある仮集積所に山となっている。これが復興作業の妨げになる。一刻も早く取り片付けたい。しかし、原発事故による放射能汚染が懸念され、燃やすにせよ、埋めるにせよ、引き受けようという所がなかなか見つからない。  被災地にも遅い春が訪れ、ようやく暖かい日々が巡ってきた。しかしまだまだ冬物を片付けるわけにはいかない。ちょっとしたことでぐんと冷え込み、春の雪に見舞われる。春雪は真冬の雪と違ってやわらかく、あらゆるものをふっくらと丸く包み込む。大震災の爪痕である瓦礫もふんわりと覆い隠す。一面真っ白に、全てを忘れさせるように幻想的な景色をもたらすが、翌日になればまた醜悪な顔をのぞかせる。なまじ雪化粧に隠されただけに、再度むき出しになった瓦礫は一層まがまがしい姿に映る。(水)

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